他県と比べて、千葉県の道路事情が悪いと思ったことはないですか?これには成田国際空港の建設が関係しています。
■成田闘争の勃発
成田空港の建設に際して、国側は地元農民の反対を押し切る形で建設工事、用地買収を行い、それを阻止しようとする農民側と、血みどろの闘争が繰り広げられました。
■収用委員会への嫌がらせ
過激派農民や新左翼の空港反対派は、千葉県の土地収用委員会の委員に嫌がらせや脅迫を長らく続け、嫌がらせはエスカレートし、1988年千葉県土地収用委員長襲撃事件が発生。また収用委の家族への嫌がらせや子供の誘拐事件も発生。これをきっかけに、千葉県収用委員会の委員はみな辞めてしまいました。土地収用委の解散です。
■土地収用委の解散~失われた16年~
ここから16年間、千葉県の収用委員会は機能せず、インフラ整備に支障をきたすようになります。実際の土地買収においては、収用委の権限発動!みたいな事はあまりないのですが、土地を”強制収用できる”というカードを持たない以上、土地買収交渉ではどうしても不利に働きます。売る側は売る値段をどんどん釣り上げちゃうんですね。東葉高速鉄道や北総線の高額運賃も、収用委の不在により土地買収にかなり手間取ったことが原因の一つなのです。
■遅すぎた収用委の復活
さすがにこのままではまずいという事で、2004年に収用委が復活しました。しかしその間に進まなかった道路整備の代償は、大きいものでした。
千葉県にとって、成田空港の受け入れは、16年間におよぶ収用委の解散という、残念な事態を発生させました。
■成田不要論
こんな苦難の歴史がある成田空港。最近になって成田不要論が活発になっていますが、千葉県としては受け入れがたい事でしょう。
成田空港によって千葉県は恩恵を受けていますが、たくさんの犠牲もはらいました。そんな犠牲を払って国策により建設された空港を、わずか30年ちょっとで不要扱いにするという事は、千葉県が払った犠牲を踏みにじるものです。
その歴史を全く無視して、成田は不要だと叫ぶのは、ちょっといかがなものかと思います。